喪主を務められた 故人の夫…
きをてらうことがお嫌いな方だったので、
棺に捧げる最期の花束は お嫌かな?と思いながらも、
“しておけばよかった…”という後悔は残したくなかったので、
お嬢様方とも相談して、一応お渡ししよう…ということに。
そして、その瞬間がやってきました。
担当者が花束をお渡しすると、意外にも すっと受け取ってくださり…。
通常なら、そのまま両手でそっと棺のお身体の上に置かれる…のに、
その夫は受け取った花束を片手で 高々と持ち上げたのです。
いったい、どうされるのだろう?
もしかして、ご機嫌が悪くなり、叩きつけようとなさってる!?という、
不安にかられながら、見守っていたら……。
胡蝶蘭の花束を、棺に眠る奥さまに掲げて、見せていらしたのでした。
何か一声かけながら。
離れたところにいた私には、何を仰ったのかは聞こえませんでしたが、
でもその所作で ご主人の奥さまへの想いが伝わり、
瞬時に胸がしめつけられました。
久しぶりに、涙でコメントが出来ない状態になってしまったのでした。
口の悪い人ほど優しかったり、つっけんどんにする人ほど照れ屋だったり…。
葬儀現場では、様々な人間模様を見せてもらえます。
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