亡くなるまでの62年間、耳が不自由で聞こえなくて…
だから お話をする事も出来なかった方の お通夜でのこと。
喪主は、亡くなった方の義理のお兄さま。
実は、その方の奥様…つまり 亡くなった方のお姉さまも、昨年 他界をされたばかり。
ナレーションをする為に 打ち合わせ…聞き取り…をさせて頂くにあたり、
いつも必ず「差し支えのないない範囲で お話をお聞かせ下さい。」とお願いしますが、
今回は、特に力を込めて 申し上げていました。
それにも関わらず、随分と様々なエピソードをお聞かせ下さったので、
それに応えたいと 私のナレーションにも 少し気合いが入りました。
その音声は、コチラで お聞き頂けます。
その お通夜の最後のところで頂いた 喪主様の ご挨拶は、
私の葬儀司会史上の 頂上に躍り出るような内容でした。
「開式前のアナウンス(ナレーション)を聞いていたら、
自分でもビックリしているのですが、涙が出てしまいました。
…私がこの家に嫁いで来た時に、故人は小学校の高学年で、
“オレのがこの家に長くいるんだ”…そんな思いもあったのかもしれません。
見知らぬ私が 家に入った事で…きっと色々な感情も あったのでしょう。
当時、事情もよくわからない私は、食べるものやらのことで
故人と真剣に喧嘩をし 戦ったことなどを思い出しました。
昨年末の、自分の妻の葬儀でも こんな気持ちにはならなかったのに、
今日は 涙が出て 自分でも 本当にビックリしています。」
嬉しい…なんて申し上げるのは、誠に不謹慎ではありますが、
私のナレーションが、少なからず 喪主様の記憶の糸を解すお手伝いができたのかも…
と 思わせて頂けたことは、やはり 大変に光栄なことであり、
この現場に 立ち会わせて頂けた ことは この上なくありがたいことで…。
今日もまた、この仕事をさせて頂けている喜びを噛み締めている 私がここにいるのです。
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